台湾で採用・雇用をするために知っておくべき労働法規の概要

台湾で現地人を雇用するので「台湾の労働法規について知りたい」「台湾の労働法規に従った労働契約や就業規則を作る必要がある」というお声をいただきます。
台湾の労働法規に従った労働契約や就業規則は、会社と従業員との間のトラブル防止、従業員のパフォーマンス向上、会社全体の生産性の向上につながります。
そこで、この記事では台湾の労働法規を5つのポイントにまとめて紹介します。
台湾の労働法規の概要

台湾には日本と同じような労働基準法があります。
台湾の労働基準法の中には、残業代の計算、1週間の労働時間、週休2日制などについて規定があり、それらを見れば労働者保護の意識が強いことがうかがえます。
したがって、日系企業が台湾の労働基準法を遵守し、現地の実情やニーズに即した労働環境を整備すれば、従業員も安心して働くことができるでしょう。
また、安心できる労働環境は会社の発展にも寄与します。
1.労働契約

台湾の労働契約法は、雇用契約の基本条件を定めています。基本条件には勤務内容・勤務地・労働時間・賃金・休日・解雇の条件が含まれます。
雇用契約は口頭契約ではなく、労働条件を明記した労働契約書に双方が署名して締結してください。
それにより雇用者と従業員の間のトラブルを回避できます。
2.賃金
台湾の最低賃金は定期的に調整されるので、現地雇用の際には必ず最新の情報を確認してください。
参考として、2026年1月1日から月額の最低賃金が以下のように調整されます。
| 月給 | 29,500NTD |
| 時給 | 196NTD |
(NTD=台湾元)
残業代の計算
従業員が残業をした場合、残業代を支払う必要があります。
平日の残業代の計算は、残業時間が2時間未満の場合と2時間以上の場合では計算方法が違います。
| 残業時間が2時間未満 | 時給×(1+⅓) |
| 残業時間が2時間以上 | 時給×(1+⅔) |
たとえば、時給210元の労働者が1時間残業した場合、 残業代は約280元となります。3時間残業した場合は、最初の2時間分として280元×2に、3時間目の約350元を加算した金額が支払われます。
また、労働基準法によると、労働者が休日に働いた場合、最初の2時間は通常時給の1.33倍以上、2時間を超える部分は1.66倍以上の賃金を支払わなければなりません。
3.労働時間・休憩・休日

台湾の労働基準法は第30条で労働時間について「労働者の通常労働時間は、1日8時間、1週40時間を超えてはならない」と定めています。
さらに、4時間ごとに少なくとも30分の休憩を与えることが義務づけられています。
台湾の休日について
台湾は原則週休2日制です。
労働基準法の第36条では「労働者は7日ごとに2日の休日を取る必要があり、そのうち1日は定休日、もう1日は休息日となる」と定めています。
定休日は中国語では「例假」と記載されています。
したがって、台湾では1週間のうち例假(法定休日)と休息日(法定外休日)の2日が休みと設定されています。
一般的には土曜日を休息日、日曜日を例假にしています。
労働基準法では、当局の同意に加え、労働組合の同意もしくは労使協議による合意があれば7日ごとに例假(法定休日)の調整が可能です。
さらに、台湾の祝日(国定休日)は原則として仕事が休みです。
祝日には、春節・和平記念日・児童節・労働節・端午節などがあります。
2025年5月の法改正により国定休日は年間11日から5日増え、年間16日になりました。
台湾では「しっかり働いてきちんと休む」というワークライフバランスを重視する声が高まっています。
日系企業としては、休日をしっかり取るという文化に対応するため、勤務カレンダーの調整、振替休日のルール整備、労働契約や就業規則の内容確認が必要です。
有給休暇
台湾では勤続年数に応じて有給休暇を与える必要があります。
勤続年数に応じた年間の有給休暇の日数は以下の通りです。
| 勤続年数 | 年間の有給休暇の日数 |
|---|---|
| 6ヶ月以上~1年未満 | 3日 |
| 1年以上~2年未満 | 7日 |
| 2年以上~3年未満 | 10日 |
| 3年以上~5年未満 | 14日 |
| 5年以上~10年未満 | 15日 |
| 10年以上 | 勤続年数が1年増えるごとに1日追加(最大30日まで) |
4.社会保険

基本的に台湾の会社は次の4つの社会保険への加入が義務付けられています。
保険料の支払いは会社と従業員が負担を分け合うものと、会社が全額負担するものがあります。
| 保険の名称 | 内容 | 保険料の負担割合 |
|---|---|---|
| 労工保険 | ・日本の雇用保険・労災保険・年金の一部に相当するもの ・業務内外の疾病・出産・障害・老齢・死亡等の生活保障 | ・会社負担70%、従業員負担20%、政府補助10% |
| 就業保険 | ・失業中の生活保障と再就職促進のためのもの ・失業給付・職業訓練手当・育児休業給付金などが受けられる | ・会社負担70%、従業員負担20%、政府補助10% |
| 全民健康保険 | ・日本の健康保険に相当するもの ・全国民が強制加入 | ・会社負担60%、従業員負担30%、政府補助10% |
| 労工退休金 | ・日本の確定拠出時年金に相当するもの | ・会社は毎月従業員の月給6%以上の額を従業員の個人の年金口座に積み立てる ・従業員が任意で6%の額を上乗せすることも可能 |
※出典:労働部労工保険局
したがって、現地で労働者を雇用する場合は、上記の4つの社会保険に加入できる環境を整えなければなりません。
5.解雇

台湾では労働基準法に定められた正当な理由があれば従業員を解雇できます。
解雇できる正当な理由には以下のものがあります。
解雇理由
- 事業の閉鎖または譲渡
- 事業の縮小または損失
- 不可抗力による1ヶ月以上操業停止
- 事業内容の変更に伴う人員削減
- 従業員が割り当てられた業務を遂行できない場合
解雇の予告期間と解雇手当の支給
解雇の予告期間は勤続年数に応じて以下の日数が定められています。
| 勤続年数 | 予告期間 |
|---|---|
| 3ヶ月以上~1年未満 | 10日前 |
| 1年以上~3年未満 | 20日前 |
| 3年以上 | 30日前 |
解雇通知を受けた従業員は、再就職のため週2日間の有給休暇が与えられます。
さらに、会社都合で解雇される従業員については、2005年の労働基準法施工後の採用であれば、勤続年数1年につき平均月給の0.5ヶ月分に相当する解雇手当が支給されます。
通知なしで解雇できるケース
以下の条件に該当する場合、雇用者は従業員を事前通知なしで解雇することが可能です。
労働基準法第12条により従業員の即時解雇が認められる理由には次のものがあります。
即時解雇事由
- 正当な理由がなく連続3日間欠勤
- 正当な理由なく1ヶ月以内に6日間欠勤
- 契約締結の際に虚偽の申告をした
- 雇用主や他の従業員への暴力・侮辱行為
- 故意に会社に損害を与えた
- 実刑判決を受けたなど
台湾の労働法規についてのまとめ
台湾の労働法規を見れば、台湾は労働者の権利や生活を守る意識が強いことがわかります。
その点は、労働時間は1週間40時間、週休2日制、最低賃金の見直し、社会保障の充実、解雇に特定の理由が必要といった点に表れています。
台湾で現地の人を採用・雇用する際に台湾の労働基準法を順守した契約をするならトラブルを回避しスムーズにビジネスを展開することが可能です。


