台湾で会社名義の銀行口座開設のKYC(顧客確認)で重視されるポイントとそれをクリアする方法とは?

台湾 KYC

台湾の銀行は、マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金供与を防ぐため、AML(アンチ・マネーロンダリング)対策を年々強化しています。

そのため、会社名義で銀行口座を開設する際には、KYC(顧客確認)が非常に厳格に行われるのが特徴です。

この記事では、台湾で会社名義の銀行口座を開設する際に重視されるKYCのポイントと、それをスムーズにクリアするための具体的な対策について解説します。

KYCで重視されるポイントとそれをクリアする方法

銀行は口座開設を認めるにあたり、「この会社には本当に実態があるのか?」「マネーロンダリング用のペーパーカンパニーではないのか?」といった点を確認します。

銀行は、こうした点に疑いがないことを確認するために、KYCで以下の点をチェックします。

それぞれのチェックポイントについて具体的な内容と、それをクリアする方法を紹介します。

実質的支配者(UBO)の透明性

銀行はAMLのために、実質的支配者(UBO)つまり会社を誰が最終的に支配しているかを確認します。

この部分をクリアするために、以下の情報の申告が求められます。

  • 株式の25%以上を保有する株主全員の情報
  • 株式の保有率が25%以下でも実質的な支配・決定権を持つ個人の情報
  • 氏名・国籍・保有割合を示した株主構成図

親会社が日本法人の場合、その日本法人の登記簿謄本や定款まで遡って提出を求められるケースがあります。

日本から離れた国や地域の株主や中間会社が、支配権を持つ者に含まれる場合、その先まで遡って個人を特定する書類が求められます。

このように、銀行のKYCをクリアするためには、「誰が実質的な支配者であるか」を明確に説明できる状態にしておくことが不可欠です。

注意点

実質的な支配者を明確にする書類が不十分だと、リスクが高いと判断され口座開設を断られることがあります。

登記住所の実体性

銀行はKYCで、本当にオフィスや事務所があるのかを確認します。

会社の住所が、バーチャルオフィスやシェアオフィスなどの住所貸し、デスク貸しでは、実体性が不十分と判断され、口座開設の審査が厳しくなる傾向があります。

登記住所の実体性を証明するためには、以下のような資料の提出が求められることがあります。

  • オフィスの賃貸契約書(物理的な利用実態を示すもの)
  • オフィス外観や看板が確認できる写真

銀行によっては地図で所在地を確認したり、必要に応じて現地確認を行うケースもあります。

そのため、登記住所については、実際に事業を行っている拠点であることを説明できる状態にしておくことが重要です。

資金の出所と取引の性質

銀行は、マネーロンダリングやてテロ資金供与を防止するため、資金の出所と取引の性質についても詳細に確認します。

具体的には、以下のような点が審査対象となります。

  • 初期資本金の出所
  • 取引対象となる国や地域
  • 取引金額の規模、および取引の方法

特に、ハイリスク国・タックスヘイブンとの取引が多い場合や、現金取引が多いビジネスモデルは、リスクが高いと判断され、審査が厳しくなる傾向があります。

審査をクリアするためにできる対策は以下の通りです。

対策
  • 親会社からの海外送金については親会社の財務資料や事業概要で裏付けを準備する
  • 取引は銀行振込を前提としたビジネスモデルであることを説明する
  • 取引予定先の国・業種・関係性を整理して説明できるようにする

事業実態の確認と代表者の適格性

台湾の銀行は会社が口座開設をするにあたって、事業実態の確認と代表者の適格性を審査をおこないます。

そのために、原則として銀行と代表者本人との面談がおこなわれます。

面談審査では一般的に次の点について質問があります。

審査で聞かれる質問

  • 台湾でビジネスをおこなう理由
  • 主要な顧客は誰か
  • 想定される売上規模

これらの質問に対応する対策として、以下の準備が重要です。

  • 日本の親会社の事業実績を証明できるものを準備する
  • 具体的な数値を含む事業計画書を作成する
  • 会社の実態を証明する資料(ウェブサイト、パンフレット、決算書など)を準備する

特に、「主要な顧客」や「売上規模」については、具体的な会社名や数値、およびその根拠を説明できることが求められます。

KYCの審査を通過するための実務的なコツ

台湾の銀行のKYCの審査をスムーズに通過するためには、事前準備と戦略的な対応が重要です。

主なポイントは以下の通りです。

最初から会社設立代行サービスに依頼する

台湾での銀行口座開設をスムーズに進めるため、会社設立の段階から会社設立サービスを提供している業者に依頼できます。

台湾で複数の会社を設立し銀行口座開設をサポートしてきた実績がある業者なら、銀行ごとの審査傾向や対応方法についてのノウハウを持っているからです。

結果として、トータルコストや時間を考えるなら、専門家に依頼する方が結果的に安くなるケースがあります。

事業内容・事業計画は具体的な内容や数字入りで説明

事業内容・事業計画は具体的な内容や数字を入れて説明すると、銀行は業務実態を確認しやすくなります。

例えば、「台湾での販売拠点は〇〇」「初年度売上〇〇元」「主な取引先は日本・台湾・香港・シンガポール」「取引先の会社名は〇〇有限公司」など抽象的な説明ではなく、数値や固有名詞を用いることで実在するビジネスであることを強調できます。

親会社やグループの実績を活用する

信頼できる会社であることを証明するために、日本に本社や支社がある場合、その実績を活用できます。

例えば、本社の決算書・ホームページ・パンフレットを提示することで信頼性を強化できます。

また、日本や台湾ですでに取引実績のある企業があれば、その企業名を出すことで、対外信頼性をより具体的に説明することができます。

反社会的勢力・制裁リスト・PEPの確認

KYCの審査通過には、主要株主・UBO・役員が以下に該当しないことを事前に確認することが大切です。

  • 反社会的勢力
  • 制裁リストの対象になっている国・団体・個人
  • PEP(Politically Exposed Person:重要な公的地位にある者)

主要株主やUBOがこうした団体や個人と関係があるなら、口座がマネーロンダリングやテロ組織への資金供与のリスクが高いと判断され、口座開設が認められない場合があります。

銀行口座開設のKYCで重視されるポイントのまとめ

この記事では台湾で会社名義の口座を開設する際に重要となるKYCのポイントについて解説しました。

KYCでは、UBOの透明性、登記住所の実体性、資金の出所と取引の性質、事業の実態と代表者の適格性が審査されます。

審査を通過するためには、事業計画書、株主構成図、本社の決算書、賃貸契約書などの書類を事前に用意し説明できる状態にしておくことが重要です。

また、審査に必要な書類は、中国語や英語への翻訳が求められるケースもあります。不安がある場合は専門家のサポートを活用することも有効な選択肢の一つとなります。

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